猛暑、FPの家の住み心地はいかに
冷房と窓開け

 今年の夏は新潟もご多分に漏れず近年まれに見る猛暑に見舞われたが、新居で初めての夏を迎えた我が家は以下のような冷房で乗り切った。朝九時頃すでに30度を超えるような猛暑時も全館冷房はせず、来客も含め多くの人が長時間を過ごす一階のダイニングキッチン及び居間の二部屋計約18畳のゾーンを設定温度29度で朝九時から夜八時くらいまで、その他は必要に応じ二階一部屋ないし二部屋を冷房する、おおむね夜八時には冷房を切り一番遅くまで起きてる人が就寝するまで窓を開け外の冷気を取り込み、就寝時に一階の窓は全部閉める、という比較的弱い冷房である。例外として子世帯の寝室は台風の接近によるフェーン現象で寝苦しいときのみ就寝中も冷房した。元々冷房が苦手な者が多く、旧宅での暮らしの流れから省エネ生活になじんでいたためそうなったわけだが、一夏を過ごした感想を一言でまとめると日中はFPの家といえども冷房をかければ涼しい、かけなければ暑い、というごく当たり前の結論である。ただし、冷房の効きはよく、かけるとすぐに冷え、切ってもすぐには暑くならない、家中の全ての窓を完全に閉め切ると冷房をかけてない部屋にも冷気ないし除湿された空気が流れ比較的過ごしやすくなる、というのが以前の家と違う。前述の通り以前の我が家は築四十年以上で気密断熱遮熱への配慮が全く無く、しかも電気容量が少なく冷房機器の連続運転もままならない住宅だったのでそれとの比較はあまり意味は無いかもしれないが、猛暑の日中も以前よりはるかに快適に過ごすことが出来た。元々冷房が嫌いな父は最初のうちは長年の習慣で冷房をかけていても少しでも暑くなると冷房を強くするのでなく逆に窓を開けたがるので、「この家は夏の日中の暑い時間帯は締め切ってクーラー(我が家ではエアコンをこう呼ぶ)を付けて使うように出来ている」と私から繰り返し説明した。また、さすがの父も今年ばかりは冷房無しで過ごせない日が多かったようで、夏の後半にはそうした過ごし方に慣れたようだ。

 夜間は以前の家は平屋だったため、おそらく昼間の日射で暖まった屋根や外壁の熱が室内に輻射し、外の気温が下がっても室温及び体感温度が下がりにくい状態が長時間続いたが、今度の家は断熱がよく一二階とも風の通りもいいためか、窓を開ければ外気温の低下がすみやかに室温低下に反映されるのが違うところだ。天井断熱を通常のFPの家よりさらに強力にしたことと太陽光パネルで南側の瓦への日射が遮られたことも大きく貢献しているようだ。また、西向きの窓を極力減らしたことも午後からの室温上昇を防ぐのに有効だったと思う。前述の通り今年は夜九時台の子供の就寝時にも室温(ほぼ外気温に等しい)が30度以上という超熱帯夜が数日あり、そういう日はさすがに明け方近くまで寝室の窓を閉め切り冷房をつけたが、例年の気温であれば就寝後の冷房はほとんど不要と思う。実際冷房嫌いの父母の寝室では就寝中は一度も冷房を使わなかった。

コストに関しては太陽光発電が連日の晴天のため好調であったこともあり、七月中旬から八月上旬の最も暑い時期の電気代純支払い額は一日当たり百円程度、八月中旬から九月上旬の比較的涼しくなった時期の電気代純支払い額は一日当たり三十円程度であった。我が家はオール電化だからいうまでもなく六人が生活して冷房、風呂、炊事、照明、その他の家電製品の電力消費全て含んだ光熱費が盛夏もわずかこれだけということである。余談だが、私が子供の頃世の中にはコインクーラーというものがあってテレビでさかんにCMを流していた。家庭にメーカーがリースするエアコンを置いて、使いたいだけ百円玉を入れるという仕掛けで今でも沖縄の民宿では現役のようだが、それと比べると全館冷房こそしないが以前の家より大幅に冷房面積が増えてなお全光熱費が一日ワンコイン以下という、この安さはまさに隔世の感がある。
 しかしながら夏のFPの家も全く問題点が無いわけではない。それは夜間の換気と防犯の両立である。その気密断熱性能の高さが災いし、従来の家であれば夏の夜間、気温の低下とともに屋根や壁、さまざまな隙間等から自然になされていたであろう放熱が全く期待できない。外気温が下がった時点で意識して窓を開け放熱してやらないと結果として昼間、主に窓の日射により入った熱をどんどんため込んでいくことになる。特に今年のような猛暑ではお盆の帰省や旅行等で長期間の不在、または共稼ぎ等による昼間の不在で窓締め切りのまま家を空けざるを得ないお宅では、熱が蓄積し計画換気をオンにしていたとしても帰った時には室温がかなり上がっていたことだろう。我が家も防犯上の理由で就寝後は一階の窓は閉めざるを得ない。どうせ夜十一時以降の電気代金はやりくりナイトエイトのおかげで昼間の四分の一くらいだから割り切って窓を閉め切り、ずっと弱めに冷房をかけておくのも一つの方法と思うが、それには電気代やエアコンの損耗を考えるとやや抵抗がある。二階の窓は開けても防犯上問題ないお宅がほとんどだから一階の床に近い低い位置に小さくてもいいから防犯と気密に配慮した換気専用の窓を一つつけると煙突効果で夜間の冷気を効果的に室内に取り込むことができ、この問題に対する一つの解決策になるかもしれない。

台風
 今年は台風の当たり年で新潟県も何回か台風による強風に見舞われたが、新居は気密の良さから窓を閉めてしまえば多少の強風に吹かれても以前のようなふすま障子等のがたつきがまったく無いため安心感がある。ちょっと話はそれるが以前は前の道を大型車がスピードを上げて通るとわずかな揺れを感じることもあったが新居ではそのようなことは全くない。やはりべた基礎と安定した軸組のなせる技と思う。また台風につきもののフェーン現象も上記のとおり窓締め切り冷房オンでなんなく乗り切ることが出来た。

ロール式網戸の功罪
 はじめから全ての開き窓にはシャノンのロール式網戸を取り付けたのだが、窓自体が外開きでかつ網戸が室内側にあるため、窓の開け閉めに際しいちいち網戸も窓の開閉レバーの位置まで上げ下げが必要という点で夏は引き違い戸に比べ若干不便だ。しかし、引き違いは戸の開け具合が中途半端だと蚊の通り道が出来ることがある。本来の目的である蚊を防ぐ能力は開き戸が確実で家全体の気密が高まったのとあいまって昨年まではほとんど一日中点けっぱなしだった蚊取りマットを今年はほとんど使う必要がなかった。蚊取りマットの費用と取り替える手間も一夏中の毎日となると馬鹿にならないので、その点は満足している。また、ロール式網戸は冬不要になってもいちいちはずして片づける必要がないし、非使用時は室内側にあるので汚れにくい。ところで、また台風の話に戻るがやや大きめの開き戸をこのたびの台風の前触れの強風時、半開きにしておいたところ風にあおられバターンと全開する、ないし逆に勢いよく閉まってしまう、ということが数回あった。つまり、風が強い日は開き戸は半開きにして通気量を調節することは出来ないと言うことだ。もっとも風が強い日は窓を閉めていればいいだけの話なのだが、この点ではいかに風が強くとも任意の開口面積を設定できる引き戸に軍配が上がる。一方、開き戸は開口面積に比し通気面積が大きくとれ、開閉が軽い、気密は引き戸より良い、という利点がある。以上、窓を引き違いにするか開きにするかは網戸も含めさまざまな問題がからみかなり難しい選択だが、結局場所ごとに窓の使い方を事前によく考えるしかない。

木の動きとアフターサービス
 完成後半年を経過した時点で定期点検としてクロスと柱の間に微妙な隙間が生じた部分や建具の動きが悪くなった部分をまとめて修正(塗料等で隙間が目立たなくする、かんなで建具を削る等)してもらったが、集成材を多く採用したので比較的木の狂いは少ないと思う。特にノダの床や建具(スラインダーシリーズ)はわずかな床鳴りが生じた部分もあるが反り等は全く見られず満足している。

夏のハニカムロールスクリーン
 主に冬場の熱損失の軽減とプライバシーの確保を目的として南側の大きな窓全てに採用したセイキ総業のハニカムロールスクリーンだが、日射を遮る能力もあり夏もよく機能している。遮熱に関しては本来日射は窓の外で遮蔽するのが原則であり、場合によってはオーニング等の設置も考えていたのだが、ローイーガラス、エアコン及びこのスクリーンの三者の併用で朝日が入る時間帯のみ窓際でスクリーンを通しての輻射熱を感じる程度だ。その時間帯、窓の直近に長時間とどまるようなことがなければ特に日射による不快を覚えることはなさそうである。あと前項とも関連するが、やはり風の強い日に窓を開けハニカムロールスクリーンを半開きにしておいたところ風に押されてスクリーンがふくらみ断熱レールから脱線した際、スクリーンの端っこが数カ所一センチほどずつ切れてしまった。これは使い方の問題だが、風が強い日は決してスクリーン自身に風圧がかからないようにしなければならない。

寝室の引き戸は温度調節に有効
 室内の戸は全て引き戸を採用したが、寝室の戸は就寝中の温度調節に有効である。というのも前述の通り、高気密高断熱住宅では夏の夜、外気温が下がった後朝方にかけてはなるべく室内に冷気を取り入れ部屋を冷やしておきたいところだ。ところが窓を開けたままの状態だと寝室は朝方気温が下がりすぎて寝冷えするおそれがある。そんなときは寝室の引き戸を室温と外気温、朝の日射量から勘で適当な幅の隙間を空けてやることにより寝室の極端な温度低下をさけつつ冷気を他の部屋や廊下等に取り込むことが出来るので便利だ。

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